月経カップを使い始めるとカップが取れない、取りにくいという経験をする人も少なくありません。
取れない時の対処法として、姿勢を変えたり骨盤底筋を使うことを意識するなどが挙げられます。
普段から気をつけることとして、骨盤底筋のトレーニングなどもまとめているので参考にしてください。
月経カップが取れないときの対処法
月経カップが取れないときは、ひとまず落ち着いて以下の対処法を試してみましょう。
上記の対処法について、それぞれ詳しく解説していきます。
取り出しやすい姿勢を取る|座って取る場合と立って取る場合
月経カップが取れないとき、まずは取り出しやすい姿勢を取っているか確認しましょう。カップを取り出しやすくするためには、自分に合った正しい姿勢を取ることがとても重要だからです。
取り出しやすい姿勢は人によってさまざまですが、基本的には座って取る場合と立って取る場合のふたつの方法があります。座って取る場合だと、トイレの便座に座って少し腰をあげ、前屈みのような姿勢にすると取り出しやすいです。
立って取る場合は、お風呂場などで足を肩幅くらいに開き、スクワットもしくは中腰のような姿勢にすると取り出しやすいです。また、私はバスタブに腰かけてトイレで座って取る場合と同じような姿勢で取り出すのもやりやすいと感じます。
真っ直ぐ立ったままだとカップが下に下がってきにくいので、少し前屈みになることを意識するのが大切です。他にも、片足を便座に上げる・バスタブに片足を乗せるなどの方法もあります。
うまく取り出せないときは座って取る場合と立って取る場合など、いろいろな方法を試して自分に合う取り出しやすい姿勢を探してみましょう。
骨盤底筋(ペリネ)を使うことを意識する
取り出すときに手指を使うだけではなく、骨盤底筋(ペリネ)も使うことを意識しましょう。取り出せないときはカップが奥深く入ってしまってステムが掴めない、というような状況になっていることが多いです。
そこで、骨盤底筋を使うことを意識するとカップを膣口の方へ降ろしてくることができます。骨盤底筋とは、骨盤の底にある内臓を支えたり、排泄のコントロールをするための筋肉の総称です。
まずは骨盤底筋が動く感覚をつかみましょう。骨盤底筋が動いているかを確かめる手順は以下の通りです。
1.背骨を伸ばしてイスに浅く座る。
2.尾骨(お尻の出っぱっている真ん中の骨)の先端を2本の指でおさえる。
3.尾骨が内側に引っ張られたら、骨盤底筋が動いています。
上記の手順で骨盤底筋を動かす感覚がつかめたら、下腹部に力を入れ排便するイメージで「ん〜〜」といきんでカップを下に下ろしてみましょう。骨盤底筋を使って取り出せるようになると、指の力やステムに頼りすぎることなく、スムーズに取り出せるようになります。
最初は難しいかもしれませんがトレーニングを継続するとだんだんうまく骨盤底筋を使えるようになりますので、意識して使うことが大切です。
参考サイト:Me Luna メルーナ 骨盤底筋(ペリネ)とは
とにかくリラックス|余計な力を抜く
うまく取り出せないときは、身体の余計な力を抜いてとにかくリラックスすることを心掛けましょう。身体に余計な力が入っていると、カップが取り出しづらくなってしまいます。
例えば初心者の頃は、カップが奥に入りすぎて「どうしよう、取れなくなっちゃった!」とパニックになってしまうことがあります。こんな時は、緊張や不安から自分でも気づかないうちに身体がガチガチにこわばり力が入ってしまっていることが多いです。
忙しくて時間がない日などは、なおさら焦る気持ちが大きくなるでしょう。しかし、月経カップを自力で取り出せないことはほとんどありません。
まずは落ち着いて深呼吸をしましょう。うまく取り出せなくても「大丈夫!なんとかなる!」とどんと構え、深呼吸しながらゆっくりいきんでみましょう。落ち着いていきめばカップは自然と下りてきてくれます。
スムーズに取り出すためには、まず身体の余計な力を抜いてリラックスしていることが大前提、と言っても過言ではありませんよ。
膣内で密着している部分に空気を入れるようにずらす
月経カップに触れることはできるけど、びくとも動かない。こんな時は膣内で密着している部分に空気を入れるイメージで、カップをずらしてみましょう。
月経カップは挿入した時に真空状態になり、ピタッと膣に密着しているため真空状態を解除しなければうまく取り出せないからです。
具体的には、膣に指を入れてカップの側面を少し潰して取り出すイメージです。そうするとカップの中に空気が入りこんで、真空状態を解除することができます。
私は親指と中指でカップの底部をつまみ、人差し指でカップの側面を潰す、というようなやり方で取り出しています。Cフォールドの折り方のように、カップを半分に折ってしまうくらいのイメージで潰すと小さくなるので、取り出しもスムーズにいきますよ。
また、カップの空気穴に汚れがつまっていると空気が入らず真空状態を解除しにくくなっている可能性もあるので要注意です。空気穴は常に清潔に保ち、カップが膣内に密着して取れないときは、カップをずらして空気を入れるよう意識しましょう。
ステムは強く引っ張るものではないため注意
月経カップのステム(持ち手)は強く引っ張るものではないため注意しましょう。強く引っ張ってしまうとステムがちぎれてしまう恐れがあります。
例えばカップが奥に入りすぎてしまったとき、ステムを必要以上に強く引っ張ってしまいがちです。また、指が滑ってステムをうまく掴めないときなど爪を使って引っ張ってはいないでしょうか。
ステムはあまりにも強く引っ張ったり、爪を使って引っ張ったりしてしまうとちぎれてしまう可能性があります。どうしてもステムが掴みにくい、強く引っ張ってしまうなどの場合は、別のタイプのステムを試してみるのもひとつの手です。ステムのタイプで代表的なものは下記の3種類です。
・リング型(持ち手が輪っかになっている。指でひっかけて取り出しやすい)
・ステム型(持ち手が細長い棒状。自分の好みの長さに切ることもできる)
・ボール型(持ち手が小さいボール状になっている。膣内にあたる部分が最小限となる)
私は指にひっかけやすいリング型のカップを使っています。リング型は頑丈で掴みやすく、コットンコードのようなヒモをつけて引っ張り出すことも可能です。取り出しやすさでは初心者の方に一番おすすめのタイプです。
ステムが届かない場合は?
ステムに指が届かない場合は、上記でもご紹介した骨盤底筋(ペリネ)を意識していきんでみましょう。ステムに頼らず骨盤底筋を使ってカップを膣口まで降ろすことができれば、ステムは手の届くところまで下りてきてくれます。
慣れてしまえばステムにほとんど頼らず、楽にカップを取り出すことができるようになりますよ。ステムに指が届かないからといって乱暴に指を入れると、爪などで膣を傷つける可能性もあるので注意してください。
まずは身体をリラックスさせ、骨盤底筋を意識してカップを下ろすことを試してみましょう。
スムーズに取り出すための事前準備と普段から気をつけたいこと
月経カップをスムーズに取り出すためには、事前準備と普段から気をつけたいことがいくつかあります。
上記について、それぞれ詳しく解説していきます。
取り替える時は時間に余裕を持って計画的に
月経カップを取り替える時は、時間に余裕を持って計画的に行いましょう。取り替えるための十分な時間がないと、焦って身体が緊張してスムーズに取り出せなくなってしまいますし、メンタル的によくありません。
これを防ぐためにも、予め1日の予定の中に取り替える大まかな目安を考えておきましょう。「○時になったら取り替える」のように時間で決めておくのもいいですし、午前1回、午後1回という感じでざっくり決めておくのも良いでしょう。カップの取り替えは、カップの取り出し→洗浄→カップの挿入→手を洗うなど、思っていたより時間がかかる作業です。
私は月経カップの使用歴が3年ほどですが、今でもカップの取り替えには10分くらいかかります。ある程度の時間がかかることは仕方がないと割り切って、10〜15分程度の時間が確保できるよう、スケジュールは余裕を持って調整しましょう。
骨盤底筋(ペリネ)のトレーニング
骨盤底筋(ペリネ)はトレーニングで鍛えることができます。骨盤底筋をうまく使えるようにするためには、継続してトレーニングを行うことが大切です。寝たまま行う方法と座って行う方法があるので、ご自身がやりやすい方法でトレーニングしてみましょう。
以下は東京女子医科大学附属足立医療センターの骨盤底機能再建診療部で紹介されいてる方法です。
・寝たまま行う方法
1. 仰向けに寝て足を少し開き膝を立てます。膝の間はこぶしをひとつ分くらい開け、体の力をぬきます。
2. 肛門を閉めながら膣と尿道も10秒くらいぎゅーっと締め、その後、30秒くらいリラックスします。息を吐きながら、肛門と膣を胃の方向に引き込むように締めるとやりやすいとされています。これを10回繰り返しましょう。
3. 次に、同じように肛門、膣、尿道を閉める動作をもっと早いテンポで行い、この「キュッ(締める)、パッ(緩める)」を1セットとして、10回繰り返します。慣れてきたらだんだんと回数を増やすとよいでしょう。
4. 1~3を1日数回に分けて5セット以上行います。
・座って行う方法
1. 背筋を伸ばして少し浅めに座ります。
2. 床につけた両足は肩幅に開き、肩の力をぬき、おなかに力が入らないようにしながら、締める、ゆるめるを繰り返します。(基本姿勢の2~3を繰り返します)
引用:東京女子医科大学附属足立医療センター 骨盤底機能再建診療部 骨盤底筋訓練
注意点として骨盤底筋以外の筋肉を締め付けないようにすることも挙げられます。別の筋肉を収縮させると腹圧で骨盤底が下がってしまう可能性があるからです。トレーニングをする上で重要なのは、正しく骨盤底筋を動かすことと継続することです。効果は2〜3ヶ月後に現れるので根気強く続けましょう1)。
また、骨盤底筋を鍛えると月経カップが取り出しやすくなるだけではなく姿勢の改善や尿もれ、子宮脱などの予防にもなりますのでやっておいて損はないトレーニングです2)。
1) 日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第一病院 骨盤底筋トレーニング
2) Me Luna メルーナ 骨盤底筋(ペリネ)とは
慣れないうちは短時間の使用にとどめ、取り出す時に自宅で対処できるように
初心者の頃など慣れないうちは短時間の使用にとどめ、取り出しは自宅で行えるよう対処するのもおすすめです。自宅の方が外出先より時間を気にせず落ち着いて取り出せますし、何よりリラックスできるというのが利点です。
例えば初心者の場合、はじめは夜の寝る間だけ使ってみるのがおすすめです。夜の寝る間だけだったら、朝起きて自宅のトイレで落ち着いて取り出す練習をすることができます。もしトイレでうまくいかなくても、場所をお風呂場に変えて取り出してみるのもいいですよ。
周りに経血が飛び散るのを気にせずできることや、カップもデリケートゾーンも一緒にきれいに洗えるのでとても楽です。取り出しに慣れてきたら外出先で使うことにもチャレンジしてみましょう。
カップの取り出しに不安を感じている人は、慣れないうちは夜の間だけなど短時間で使ってみて、自宅で余裕を持って練習することからはじめてみましょう。
膣内の滑りが悪くてカップが取り出しにくいときは無理に使用しない
私が個人的に普段から気をつけていることは、膣内の滑りが悪くてカップが取り出しにくいと感じる時は無理にカップを使わないようにしています。このような時、無理にでもカップを使おうとすると取り出す時に痛かったり、うまくいかない場合が多いです。
生理の1日目や終わりの方は経血量が少ないためどうしても滑りが悪く、取り出しにくくなります。経血量が少ない期間もカップを使いたくて頑張っていた時もありましたが、やはり取り出しにくさからカップを無理に引っ張って、膣を痛めたことがありました。
この反省を踏まえ、生理1日目や生理終わりの方は少しでも「痛いな」と感じたらカップの使用はやめて、ナプキンに切り替えています。しかし、月経カップの快適さに慣れてしまった方はナプキンを使うのがおっくうになってしまった、という方もいると思います。
そういう場合は、経血量が少なくてもカップの滑りをよくする潤滑ジェルなどもあるので、そのようなアイテムを併用するのもおすすめですよ。個人差はありますが経血量は毎回一定ということはないので、少ない日は無理にカップを使おうとせず他の生理用品と併用しながら使うことが、月経カップと上手に付き合うコツです。
なお、多くはないものの月経カップが合わない人や、やめた方が良い人も中にはいます。以下の記事では、月経カップをやめた人のアンケートなどを取っているため、自分が該当してないかなど参考にしてみてください。
月経カップをやめた理由は?やめた体験談や30人へのアンケート結果など
どうしても取れない時の最終手段は病院・クリニックで
いろいろな対処法を試してもどうしても取れない時は、最終手段として産科・婦人科、またはレディースクリニックなどの専門医を受診しましょう。取れないからといって放置してしまうのは非常に危険です。
月経カップを長時間身体に入れていると感染症にかかる可能性もあります。例えば下記のような状態であれば、病院に行くことも検討すべきです。
このように自分ではどうしようもできないと判断したら、放置せずに病院やクリニックの受診を検討しましょう。月経カップを自力で取り出せなくなることは稀ではありますが、なかにはどうすることもできず病院で取ってもらったという経験談もあります。
逆に考えると、病院やクリニックで取ってもらうという最終手段がありますのでパニックにならず、まずはいろいろな方法を試してみましょう。
また、取れなくなった時たまたま近隣の医療機関が休みだったというケースもあるかもしれません。痛みが強かったりと緊急性が高い場合は、救急など必要に応じて事前に問い合わせてみましょう。どうしてもカップが取れない時は無理せず、専門の医療機関を頼りましょう。
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