月経カップを使い始めたけどなぜか下がってくることがある、という経験をしている人も少なくありません。
月経カップで下がってくる原因は、位置の問題や開ききっていないケースが多くなっています。他にも入れる時の角度が悪かったり、サイズが合っていないケースもあり原因に応じて適切な対処法が必要となります。
この記事では月経カップで下がってくる原因と、その対処法として位置や角度を変えて入れ直したり、折り方を変えるなど具体的な内容をまとめているので参考にしてください。
月経カップが下がってくる原因は?
月経カップが下がってくる原因は一つでなく、いくつかの理由が考えられます。
・カップの位置が浅い
・カップがちゃんと開いてなかったり、角度が悪い
・サイズが小さすぎたり、大きすぎる
・カップに古い汚れが残っている
・膣の炎症など症状がある
・身体が月経カップに合っていない
上記の原因について、それぞれ詳しく解説していきます。
カップの位置が浅い
挿入したカップの位置が浅いことが原因となっている可能性があります。浅い位置でカップが開ききってしまうと、膣内に上手く密着してくれません。
最初のうちは「取れなくなったらどうしよう」という不安から、カップを深い位置に挿入することに恐怖を感じてしまう人が多いです。カップの適正位置は人によってさまざまですが、最低でもリングの持ち手が膣内にすっぽり隠れるくらいは入れてみましょう。
最初は怖いかもしれませんが身体の構造上、子宮の中にカップが入ってしまうようなことはないので安心してください。また、自力で取り出せなくなるということもほとんどありません。
「自分が思っているよりも深い位置まで入れる」という気持ちで、少しだけ勇気を振り絞って入れてみましょう。
カップがちゃんと開いてなかったり、角度が悪い
カップの折り方が悪かったり、挿入する角度が悪いと下がってきてしまうことがあります。折り方が悪いとカップがちゃんと開かず、膣内で密着してくれません。
挿入する角度が悪いとカップが膣内で潰れてしまったり、カップの位置が浅くなってしまうこともあります。カップの折り方はたくさん種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
痛みは少ないがカップが開きにくい折り方、カップは開きやすいが入れにくい折り方など、さまざまです。角度もまた、人それぞれ膣の形が違うのでこれが正解!というのが無いのが難しいところ。
そこで大切なのが、自分がしっくりくる方法をとにかく色々試して模索することです。自分に合っていない折り方や角度で入れ続けていると、いつまでたってもカップは密着せず、下がってきてしまう原因になります。自分に合う折り方と角度を見つけ、カップを完全に開かせることがとても重要です。
カップのサイズが小さすぎたり、大きすぎる
月経カップのサイズが小さすぎたり、大きすぎることもカップが下がってくる原因の一つです。サイズが自分に合っていないことにより、カップが膣に上手くフィットしないためです。
フィットしている実感がない場合は、いま一度カップのサイズが本当に合っているか確認してみてください。月経カップのサイズはメーカーによりますがS〜Lサイズ、もしくは1・2サイズといった表記が多いです。
選ぶ基準としては経血量や出産経験の有無、身長・年齢・体型などで選ぶことになりますが、この基準はあくまで目安。実際使ってみて「あれ?ちゃんと選んだのに合わないな」と感じる人も多いのが現状です。
残念ながら月経カップは試着ができないので、サイズガイドに従うほかありません。しかし、膣の形は年齢や出産経験などによって変化していくものです。
たとえ合わないサイズを購入してしまっても、日によって使い分けたり、今後合ってくる可能性もあるためいくつあっても困るものではありません。まずは今の自分に適合したサイズであるかどうかを見極めて、ピッタリだと思えるカップを使うことをおすすめします。
カップに古い汚れが残っている
時にカップの古い汚れが下がってくる原因となることもあります。汚れがあまりにひどいと、膣内に密着するのを妨げてしまうためです。
前回までの生理期間に使用した後、きちんと煮沸消毒や洗浄をしていないとしたら、古い汚れが残っている可能性があります。これは衛生面的にも雑菌が繁殖し、非常によくない状態です。
前回までの古い汚れが残っているかもしれない、と心当たりがある人はすぐに煮沸消毒を行い、念入りに洗浄しましょう。ただし、今回の生理期間中の経血が多少付着しているのはあまり問題ないので安心してくださいね。
膣の炎症など症状がある
膣の炎症などの症状がある場合も、月経カップが上手く装着できない原因となります。そもそも自覚症状がある人は使用を中止することをおすすめします。多くのメーカーが下記の場合、使用の中断を推奨しています。
・泌尿器科系・婦人科系の疾患を罹患している場合
・膣内や膣口にかゆみがある
・排尿時に不快感がある
体調が万全でない場合、まずはそれを治すことが最優先です。体調がすぐれなかったり、月経カップを使用してから不調を感じている人は自己判断せず、すぐに産婦人科などの専門医を受診しましょう。
身体が月経カップに合っていない
稀ではありますがカップのサイズや入れ方の問題ではなく、月経カップ自体が身体に合っていなかった、というケースもあります。月経カップのほとんどは医療用シリコーンや医療用TPE(熱可塑性エラストマー)といった素材で作られています。
どちらも医療の現場で使用されているような高品質で安全な素材です。しかし、もしご自身が何らかのアレルギーであることを自覚している場合、それらを使用していない製品であることを購入前にしっかりチェックしておきましょう。
また、他と比較して安すぎる製品は粗悪品の可能性もあり、注意が必要です。少なくとも、製造工程や安全性が明確に証明されている月経カップを選びましょう。しかしながらどのような製品でも永久的に絶対安全だ、という保証はありません。ささいなことでも違和感を感じたら、迷わず専門医に相談しましょう。
下がってくる時の対処法
カップの位置や角度を変えて繰り返し試す
特に使い始めの頃は位置や角度に問題があることが多いため、位置や角度を変えて繰り返し試してみるのがおすすめです。基本的な入れ方をもう一度おさらいしておきましょう。
角度は膣口から尾骨(背骨のいちばん下の骨)に向かって水平を意識して挿入する
カップを膣に差し込み、3〜4㎝くらいのところ(指の第2関節ぐらい)で指を離す
カップがしっかり開いて密着しているか確認する
持ち手を軽く引っ張り、抵抗があれば正しく装着できています。もし開いていないようだったら、カップの底部を押したり、くるくる回転させてみましょう。
正しく装着するために重要なのは、自分の膣の形をよく理解することです。自分の膣がどんな形なのか、わかっている人は意外と少ないです。膣の位置や角度、長さなどは人それぞれ異なります。なので、自分にとってベストな位置や角度をトライアンドエラーで探してみましょう。上手くいかなくても最低3ヶ月くらい粘り強く試行錯誤すれば、きっと見つかりますよ。
色々な折り方を試してみる
人によって合う折り方が違うので、色々な折り方を試してみましょう。代表的な折り方は以下の3つです。
・パンチダウン(リムの半分を内側に押し込む)
カップの先端が小さくなるので、挿入に痛みを感じる人におすすめの折り方。ある程度弾力のあるカップに向いています。
・Cフォールド(カップを半分に折って、リムをCの形にする)
カップを半分に折るだけなので、最も簡単な折り方。開きやすいが、先端があまり小さくならないのがデメリット。
・セブンフォールド(カップの右上を左下方向へ折り、リムを数字の7の形にする)
カップの先端が平たく小さくなる折り方。元に戻ろうとする力が強いのでカップが開きにくい人におすすめ。
もうひとつ、私の経験からおすすめしたいのが「Iフォールド」という折り方です。Iフォールドの折り方は途中までセブンフォールドの折り方と一緒で、リムを7の形にしたらその状態をさらに半分に折って、Iの形にします。
この折り方はカップがさらに細く小さくなるのでとても挿入しやすいです。使い始めの頃、上記の代表的な3つの折り方をすべて試しましたが、私はどれも合わず挿入に苦戦していました。
しかし、Iフォールドの折り方を試してからやっとスムーズに挿入できるようになりました。上手く挿入できなくてお悩みの方はぜひ試していただきたいと思います。
なお、パンチダウンとCフォールドの折り方については以下の記事で動画も紹介していますので併せて参考にしてください。
月経カップの折り方3選|開きやすい初心者向けのCフォールド、パンチダウンなど動画も
サイズが自分に合っているものか再度確認する
月経カップはサイズ選びがとても重要です。いま一度サイズが自分に合っているものか、再確認しましょう。
基本的なサイズの選び方は、経血の量、出産経験の有無、年齢、体型、子宮口の位置などで判断します。しかし多くのメーカーが挿入と取り出しやすさの面から、初心者は小さいサイズから試すことをおすすめしています。
「入るか不安だから、最初は小さめサイズにしておこう」と購入を決めた方も多いのではないでしょうか?例に漏れず、私も初心者の頃は最も小さいサイズから始めました。しかし挿入はできたもののなんだかしっくりこず、そのまま数ヶ月ほど放置していました。
ある日「もしかしたらサイズが小さすぎるのかもしれない」と思い、ワンサイズ上のカップに変えてみるとピッタリとした密着感があり、そこで初めてサイズが合っていなかったことに気づいたのです。あくまで個人の例ですが、サイズを変えてみることでカップが下がってくる悩みが解決されるかもしれませんよ。
清潔に扱う
カップは常に清潔に扱うことを心掛けましょう。清潔に保つためのポイントは以下の通りです。
・カップに触れる前は手をきれいに洗う
・1日1回、低刺激性の石鹸やハンドソープで洗う
・生理が始まる前と生理が終わった後に5〜10分煮沸消毒をする
・煮沸消毒後はしっかり乾燥させ、通気性の良い袋などに入れて保管
カップのお手入れの中でも特に面倒に感じてしまうのが、煮沸消毒です。ナプキンやタンポンはそのまま捨てれば良いのに対して、やはり時間と手間がかかるところです。
小鍋でグツグツ煮る方法もありますが、おすすめはレンジでチンして煮沸消毒を行う方法です。やり方は耐熱容器に水と月経カップを入れ、600Wで5分くらいグツグツ沸騰させるだけ。
私は料理用の小鍋を使うのは抵抗があるし、専用の鍋を買い足すほどお金をかけたくないと思い、この方法に落ち着きました。また、今は月経カップ専用の洗浄カップなども販売されています。
蓋がついているので、レンジ内に水が飛び散る心配がありません。レンジでチンするのもちょっと抵抗があるという人はこのような商品を使うのもおすすめです。
なお、月経カップの洗い方や煮沸の方法などは、以下の記事で動画付きで解説しているのでこちらも参考にしてください。
体調を整える
体調不良が免疫低下につながり、膣の炎症などを引き起こすケースもあります。そういう時は体調を整えることが最優先です。女性は特に生理前や生理期間中は体調不良が起きやすく、気持ちまでブルーになってしまいますよね。生理期間中も快適に過ごせるように、体調を整えるためのヒントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
・睡眠不足は免疫力の低下につながる。7〜8時間を目安にしっかり睡眠時間をとろう
・お風呂にゆっくり浸かる。お気に入りの入浴剤や本を読んだりしてのんびりしよう
・身体は冷やさない。足先、お腹周りを温めて血行をよくしよう
・ストレスを溜め込まない。つらさを隠して無理するのではなく、自分を甘やかして過ごそう
・食事はバランスよく。多量のお酒や身体を冷やす食べ物は避ける
・適度な運動で自律神経を整える。軽いランニングやウォーキング、ストレッチ、ヨガがおすすめ
月経カップを正しく挿入する際の注意点など
とれなくなっても焦らない
カップを挿入した時に、奥に入りすぎて「とれなくなっちゃった!」と焦ってしまうかもしれませんが、まずは深呼吸してリラックスしましょう。落ち着いていきむと自然とカップは降りてきてくれます。
どうしても取れない時は産婦人科でとってもらうという手段もあるので「なんとかなる!」という気持ちで焦らず取り出しましょう。
なお、月経カップが取れない時の対処法については以下の記事で詳しくまとめているので参考にしてください。
月経カップが取れないときの対処法|病院に行く前に試したいことや事前準備
無理に引っ張って、膣を傷つけないようにする
取れないからといって無理にカップを引っ張ると、持ち手が切れたり、膣を傷つけてしまう危険性があります。慎重にゆっくり行いましょう。
また、あまりにも爪が長かったりパーツの多いネイルをしているのも膣を傷つける要因となりますので、生理期間中だけでも爪を短くするなど対処しましょう。
月経カップのサイズ選びのポイント
自分の経血量を把握する
自分の経血量が多いのか少ないのか、あらためて確認してみましょう。自分の経血量の多い少ないは客観的に判断するのが難しく、よく分からない人も多いのではないでしょうか。
個人差はありますが、生理1回の経血量は約20〜140mlと言われています。目安としては最も多い日でも2〜3時間に1回程度のナプキン交換で間に合うくらいです。この程度なら平均的な経血量と考え、月経カップも標準的なサイズを選んで良いでしょう。
しかし、ナプキンの交換が1時間ももたない、日中に夜用ナプキンをつけても漏れてしまう、という場合は経血量が多い人向けのカップも検討する必要があるでしょう。
自分に合った柔らかさを選ぶ
自分に合う柔らかさについても考えましょう。月経カップは弾力にもたくさんの種類があり、人それぞれ合う合わないがあります。例えば「柔らかすぎて運動時に漏れてしまう」や「硬すぎて痛みを感じる」など、購入してから気づくことも多々あります。
また、「骨盤底筋」と呼ばれる骨盤の底にある筋肉(内臓を支えたり、排泄のコントロールをするための筋肉)の強い人と弱い人によっても合うカップは変わってきます。購入するメーカーのサイズガイドを参考にしながら、適切なサイズを選びましょう。
月経カップを清潔に保つ注意点など
消毒用アルコールなどはNG
カップを消毒用のアルコール、もしくはアルコールが含まれたウェットティッシュなどで洗浄するのはNGです。これらはカップの素材を劣化させたり、膣粘膜に刺激を与える可能性があるからです。
他にも酢、オイルベースの石鹸、合成香料を含んだ石鹸、漂白剤などもやめましょう。カップを洗浄する時は、刺激の少ない月経カップ専用のソープや低刺激のせっけんなどがおすすめです。
空気穴が塞がっていないか確認する
意外と見落としがちなのが、空気穴の汚れです。この空気穴に汚れが詰まったままだと、月経カップ内の空気の出入りができなくなり、上手く密着してくれません。私は毎月煮沸消毒をする前に、つまようじで優しくお掃除しています。
歯間ブラシを使っても良いですし、専用の空気穴ブラシなども販売しているので自分のやりやすい方法でお掃除しましょう。
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